LRQA のIan Hodgskinsonが2007年に発表した論文であるが、現在でも通用する内容などで紹介したい。国際規格ISO9001が2015年に改訂されるが、この内容は改訂に対して多くの示唆が含まれている。IRCAが発行する「QualityWorld」に再掲載された原文を使って翻訳して行きたい。あまり必要ではないと判断した箇所があれば割愛する。なお、できるだけ原文を尊重するが意訳して内容を理解し易くした。
マネジメントシステムが大きく増殖していることを考えると、マネジメントシステムがどれほど有効に働いているのか、そしてどのような未来があるのかを考える時期に来ていることは明らかである。LRQAが行った新しい調査によれば、マネジメントシステムを批判的な目で再評価せざるを得ない。マネジメントシステムを単なる事業運営上のシステムや法令遵守の形態としてでなく、独自の権利で戦略的な事業規律としてどう何かという観点から評価している。この報告書は、マネジメントシステムをより広く解析を行っている。その結果、マネジメントシステムの専門家に対して、単に規格への適合性を達成することにだけに終止するのではなく、組織の変革を可能にさせるように組織内でもっと戦略的な役割を果たすよう促す挑戦状を突きつけている。
改善のための動機付け
この調査は、何よりもまず、組織がマネジメントシステムに投資するときに達成したいと具体的に期待しているものは何かをはっきりさせることに努めた。上級管理職の82%が引用した主な動機は、顧客満足度を向上させたいという欲求である。また、スコアが高かったのは評判であり、組織が利害関係者の好意に大きく依存しその高まりを反映している。
上級管理者がマネジメントシステムを業務改善の兵器工場の中核として認めていることは明らかである。それにもかかわらず、マネジメントシステムはまだ成長のためのエンジンとして見なされていない。回答者のわずか48%が、新たな市場へ参入する機会を得るためのツールとしてシステムを見ている。そして、33%は、新製品の市場投入時間を短縮するためのツールだとしてとらえている。
このように限定的な見解から言えることは、60パーセントだが、調査に参加した者の大半は、自分たちは株主価値を創造するために投資活動を行っていると語っているということに注目すべきだ。これはおそらく、マネジメントシステムの専門家が直面する最大の課題となろう。すなわち、上級管理職の期待と理解に答えるためには株主価値へ付与するマネジメントシステムを構築する必要性が高いということである。
システムの社会的役割
明らかなことだが、マネジメントシステムの影響は組織内部の課題を超えて拡張している。だから、この調査ではさらに次のことも調べた。すなわち、マネジメントシステムが外部にどの程度影響するのかについてシステム管理者が十分な自信を持っているかどうかを確かめようと努めた。
健康と安全および労働に関する規格を含めて、環境システムと社会的マネジメントシステム、両者に責任がある人たちによってこれら二つのマネジメントシステムは有効だと見なされている。しかしながら、非管理者組合と方針のように、既存の システム統制が実際には株主の利益を保護していると信じている回答者は 53 %と極めて少ないのだ。
マネジメントシステムが将来に対して大きく貢献できるようにする事業運用上の統治に関することであり、また同時にまだまだ深く探索されていない領域でもある。システムを稼働させるには組織の基礎構造の中にマネジメントシステムを埋め込み、さらに、価値観と原則を一貫させながら確実に活動することによって、マネジメントシステムの専門家は、株主責任と価値に対して劇的な違いを見せることができる。この調査報告書作成者は、静的なルールに基づいた ガバナンス(統治)ではなく、マネジメントシステムの専門家が探索しなければならない領域は動的なスタイルのガバナンスであると主張している。


